日調FAX情報(第270号)
<千葉県で調理師設置の努力義務制定>
去る10月15日、千葉県議会は「調理師による県民の食生活の向上に関する条例」を全会一致で可決、成立した。
この条例は千葉県内の飲食店の施設ごとに調理師を置くことを努力義務とし、平成28年4月に施行される。
また、同条例は5年に一度、調理師が県指定の講習を受けることも努力義務に掲げている。
千葉県は平成13年に千葉県議会において飲食店営業等における調理師必置義務を求める意見書が採択されたように、かねてから調理師の資質向上に理解を示す地方自治体であったが、実際に調理師の配置に関する条例制定は全国を見ても初の快挙ではないだろうか。
これは、長きに亘り(一社)千葉県調理師会が粘り強く県に働きかけた結果であり、運動の一つとして行った署名は4万2千名余りが集まった。金子理事長をはじめ役員会員が一丸となったその尽力に頭が下がる思いである。
参考資料:ちば県議会だより No.144号
<平成28年度から調理師試験内容が変更>
この度、厚生労働省健康局長からの通知により、調理師養成施設における指導要領が大幅に変更することとなり、平成27年4月1日から新指導要領に基づく教育内容で授業が行われることになった。
それに伴い、調理師試験についてもその基本方針について調理師養成施設卒業者との整合性を図り、調理、栄養及び衛生に関して必要な知識及び技能が評価できるよう平成28年度(平成28年4月1日)から新たな調理師試験基準が適用されることとなり、試験科目(◎印)及び出題内容(カッコ内)については、次を参考とすることが示された。
試験科目:
◎公衆衛生学(出題内容:公衆衛生の概念、健康の概念、健康と疾病に関する統計、環境と健康、食生活の現状と健康づくり対策、主な疾患の現状と予防対策、保健・医療・福祉の制度の概要、健康増進や食生活の向上に関する法規、調理師の業務と社会的役割)
◎食品学(食品の意義と用途、食品の特徴と性質、食品の加工・貯蔵、食品の表示、食品の流通)
◎栄養学(栄養と健康、栄養素の機能、栄養生理、ライフステージと栄養、病態と栄養)
◎食品衛生学(食品の安全と衛生、食品の腐敗、食中毒、食品による感染症・食品と寄生虫、食品中の汚染物質、食品添加物、飲食による危害の防止と衛生管理、洗浄と消毒方法、器具・容器包装の衛生、食品の安全・衛生に関する法規、食品の安全・衛生対策)
◎調理理論(調理の意義と目的、調理の種類と特徴、調理操作、調理器具、調理施設、・設備、調理に使う食材の特徴、献立作成、調理技術、集団調理、調理施設の洗浄・消毒・清掃、接客サービス・食事環境)
◎食文化概論(食文化の成り立ち、日本の食文化と料理、伝統料理・郷土料理、世界の食文化と料理、食料生産)
従来の試験科目に比較し、試験科目について「衛生法規」が無くなりその内容は「公衆衛生学」と「食品衛生学」に取り込まれる模様であり、また「食文化概論」が「調理理論」の後になり、その他、試験問題数は60問以上、出題形式は客観式(四肢沢一)、原則として全科目の合計得点が満点の6割以上で合格(1科目でも得点が平均点を著しく下回る場合は不合格)などとされている。
これを受け、早速日調は平成28年度発行の「調理師教本」の作製について、執筆者、編集業者等を交え編集会議を開催し意見交換を行ったところであり、調理師試験基準に対応すべく準備をしている。
<厚生労働大臣表彰受賞者決定>
平成26年度調理師関係功労者厚生労働大臣表彰の受賞者(制度功労33名、養成功労9名、業務功労80名の合計122名)が決定した。
表彰式は11月18日(火)午前11時から、厚生労働省で執り行われる。
<各種事業の推進について>
本年度は調理師法第5条2に基づく2年に一度の調理師従事者届出の年であり、日調は前回に引き続き本制度の広報用ポスターを作製し頒布を開始した。
また、食育関連事業であり本年度で第5回を数える「全国こどものための愛情弁当コンテスト」についても、先日全ての関係省庁の後援名義使用の認可が得られたため、近日中に広報用ポスターとリーフレット(兼応募用紙)の配布を始めた。
いずれも日調の重要な事業であるため、日調正会員団体には広くご協力をお願いする次第である。